〜幹事長のためになるお話〜


2011.6.14

稽古の再開に寄せて

  5月から約2ヶ月ぶりに,稽古を再開できるようになりました。
 まだホームグラウンドである仙台市武道館の使用はできませんが,最寄りの上杉山中学校の剣道場をお借りすることができたのは,非常にありがたく,関係者の皆様方に感謝の気持ちでいっぱいです。

 震災によりご不幸に遭われた方々や,避難生活を余儀なくされておられる方々のことを考えますと,こうして無事に剣道ができるだけでも,大変に幸せなことと思います。

 今回の震災では,「いつも当たり前のようにそこにある」と思っていたものが,実はとても貴重で,手にすることが難しいと痛感させられました。
 剣道の稽古場所もしかり,「そのうちできるようになるだろう」と考えていたところが,とてもそんな状況ではなく,再開の目途が立たないまま日々が過ぎていきました。
 「このまま子供たちの気持ちが剣道から離れていかないか」・・・「いっそのこと屋外で『青空稽古』でもしようか」・・・などなど,今思えばたったの2ヶ月間ですが,いつも通りのことができないというのは,心細いものですね。

 稽古が再開して,みんなで素足で床を踏み,大きな声を出して竹刀を振ることができた時の新鮮な気持ちを忘れず,今年一年を過ごしていきたいです。


 ところで,話は全然変わりますが,最近あのACのコマーシャルを目にすることがめっきり少なくなりました。
 望ましいことなのでしょうが,「こんにちワン」とか「おはようウナギ」とか,意外と私と娘は好きだったんですけどね〜。

 さて,そのACCM「『思い』は見えないけれど『思いやりは誰にでも見える』」の詩を書いた宮澤章二氏の「行為の意味」という詩集ですが,書店に積んであったので興味本位で買って読んでみました。

 その中の「なみだよ」という詩の一節。

  スポーツの 健康な戦いでさえ 勝ってもなみだ 負けてもなみだ

  なみだが 感情を 美しく洗ってくれる

 なみだよ 自分のためにだけ湧くな

  友だちや見知らぬ人たちのためにも こんこんとあふれて 流れるがいい

 流れるなみだがあたたかいのは わたしたちのこころの いちばん奥の

 一番あたたかい場所から湧くためだろう

 おお!これは,仙台武道館少年剣道クラブの旗印「友の為に熱き涙を流せ」そのものではないでしょうか!
 今年もこの旗印のもと,みんなで元気いっぱいがんばっていきましょう!


  

2010.10.25

潔 い 負 け

 昨日日曜日(1024日)は,試合もなく,剣道オフ日でした。

 といって,特にやることもないので,久しぶりにNHK教育のテレビ将棋トーナメントをぼんやりと観ていました。(娘が剣道を始める前,私は将棋にはまっていた時期があり,弱いくせにネット対局なぞ指して楽しんでおりました。)

 さて,昨日の対局は,渡辺明竜王と広瀬章人王位という若手タイトルホルダー同士の激突で,お互いの穴熊囲いを突き崩す終盤戦が延々と続いた末,一瞬のスキを捉えた渡辺竜王が勝ちを収めました。

 最後は両者とも持ち時間を使い切り,秒読みに追われる中での熱戦でしたが,投了(※)の直前,広瀬王位は,一口お茶をすすり,居住まいを正すと「負けました」の一言とともに頭を下げました。あんなにギリギリの対局を演じた直後なのに,なんとも潔い態度!感心しました。まだ23歳の若者だそうです。とは言え,棋士ならば皆当たり前の行為なのでしょうが...私だったら頭に血が上って,とてもあんな風にはできません。

ものの本によりますと,プロ棋士が負けを覚悟するのは投了の数手〜十数手前で,あとは,たかぶった気持ちを整理しつつ投了までの形づくりを行うのだそうです。そして,最後にお茶を口に含むのは,「負けました」の声がかすれないようにするためだとか。修行時代の幼い頃から,勝負を経験するたびに身についた心得・作法なのでしょう。

 剣道と同じく,将棋も日本に根ざした伝統文化であり,礼法を重んじる世界ですね。特に将棋(囲碁もそうでしょう)の場合は,どんな時も「負け」を自分から認めて頭を下げないとならないわけですから,とても厳しい世界だと思います。でも,それが故に,対局姿が観る者を惹きつけ,感動を与えることができるのでしょう。

剣道にも「打って反省 打たれて感謝」という言葉があります。

負けて「悔しい」と思う気持ちは,もちろん上達の原動力であり,小さいうちは特に大切にしたいですが,一方,勝っても驕らず,負けた時は潔く,子供たちも経験を重ねる中で,そのような態度を身につけ,立派な大人に成長していってほしいなあと,広瀬王位の姿を見ながら思いました。

※「投了」:将棋や囲碁などで,不利な方が自ら負けを認め,終局まで指さずに対局を終えること


2010.10.7

半年間を振り返って

 「『仙台武道館』の看板に恥ずかしくない行動を!」

 選手みんなが先生に叱られました。青葉区春季大会の終了後です。

 「試合では好成績を残しても,それ以外の行動がだらしなくては何の意味もない。これまで道場を支えてきた先輩方に対して申しわけない。」

 子供達はもちろん,大人も身が引き締まる思いをしました。

 あれから数ヶ月...夏合宿,猛暑の中の稽古,数々の大会...と,先生の言葉を胸に,みんなで真面目に,楽しく,一生懸命に取り組んできました。

 おかげさまで先日の青葉区秋季大会では,高学年団体が優勝,低学年団体が第3位という成績を収めることができましたが,子供達からは,試合だけではなく,普段の稽古の場面でも,いろいろな感動を与えてもらったなあ...と振り返っています。

 先生方に褒めていただくには,まだまだ足りない部分があると思いますが,これから半年も,子供達とともに『仙台武道館』の垂れネームを誇りに思い,周囲の方々への感謝の気持ちを忘れることなく剣道と向き合っていければと感じています。

 そして,仙武の子供達,これからも,たくさんの感動をちょうだいね!

 ところで,験を担ぐわけではないですが,子供達が良い試合ができるよう願って,私も大会会場へ行くたびに心がけていることが一つだけあるんですヨ。

 それは...効き目がなくなると困るので,秘密にしておきたいと思います。(笑)


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